かつて、西部劇映画やアクション映画で人気を博し、現在でもハリウッドを代表する俳優であるクリント・イーストウッドが、監督・プロデューサー・主演の三役をこなしている『グラン・トリノ』。
『ミリオンダラー・ベイビー』以来、4年ぶりにクリント・イーストウッドが監督・主演を務めたことでも大変話題となりました。
イーストウッドについては、『硫黄島からの手紙』を監督したことでも話題となりましたので、映画に詳しくない方でも名前を耳にしたことぐらいはあるのではないでしょうか?
イーストウッドは、今後は監督業に専念することをマスコミに対して発言しており、事実上の俳優業引退を宣言していました。
しかし、本作品の役柄については、「監督だけをやっていこうと、ここ何年も思ってきた。でもこの“グラン・トリノ”の頑固な元軍人役にはひかれたんだ」と語ったそうです。
イーストウッドがここまで心惹かれた役柄の魅力は、観ればお分かり頂けると思います。
惜しくもアカデミー賞ノミネートを逃しましたが、イーストウッドの迫真の演技はもちろんのこと、監督としての才能も光る作品になっていると思います。
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あらすじ
ポーランド系米国人のウォルト・コワルスキーは、最愛の妻を亡くし、移民の町となったデトロイトで孤独な隠居暮らしを続けていた。
頑固で偏屈な性格のウォルトは、息子たちや親族にも嫌われ、亡き妻の頼った神父が様子を伺いに訪れても近づけようともしない。
ウォルトを意固地にしたのは、朝鮮戦争での罪の記憶であった。
ある日、彼の愛車であるグラン・トリノを盗もうと、隣家に住むモン族の少年「タオ」が忍び込む。
しかし、ウォルトの構えた銃に怯えて、タオはその場を逃げ出してしまう。
ウォルトはタオが犯人だとは知らずに、成り行きでタオや姉のスーを不良達から助け、スーにホームパーティーへ招かれる。
頑なに他人との距離を縮めようとしなかったウォルトだが、スーやその家族に親近感を覚え始める。
タオはウォルトに、自分がグラン・トリノを盗もうと忍び込んだ犯人であることを打ち明け、その代償としてウォルトの仕事の手伝いをすることになる。
弱々しかったタオが、仕事を通して次第にたくましく成長していく様に、ウォルトの心にもだんだんと変化が見えるようになる。
しかし、実はタオにグラン・トリノを盗むように命令したのは町の不良達であり、彼らは未だにしつこくタオに付きまとって生活を妨害していた。
ウォルトはタオの為に不良の一人を襲撃し、タオ達に近づくなと忠告をする。
これで全てが一件落着と思えたのだが・・・。
キャスト
ウォルト・コワルスキー:クリント・イーストウッド
過去に朝鮮戦争へ出兵しており、朝鮮人の命を殺めたことに罪悪感を抱いている。
その経験によって、現在の偏屈で頑固な性格になってしまった様子。
その性格が故に身内からも疎まれてしまい、移民たちだらけの町で孤独な隠居暮らしをしている。
フォードで自動車工を50年間勤めあげたことと、愛車であるグラン・トリノを誇りに思っている。
隣家に住んでいるモン族を「イエロー」と呼んで差別的に見ていたが、スーとタオを不良達から救ったことを切欠に、彼らと関わりを持つようになる。
最初は戸惑っていたウォルトだったが、人種や文化も異なる彼らを次第に身近に感じるようになり、タオやスーには特別な感情を抱くようになる。
タオ・ロー:ビー・ヴァン
ウォルトの隣に住んでいるモン族の少年。
大人しい性格で言葉数も少なく、見るからに冴えない男といった風貌で、ウォルトからは当初「トロ助」と呼ばれるほどであった。
姉のスーいわく、「タオは頭が良い。今は人生に迷っている」とのこと。
同族である町の不良達に付き纏われており、彼らからウォルトのグラン・トリノを盗むよう命令されてしまう。
それが縁となり、ウォルトと関わりを持つようになる。
ウォルトを通じて、少しずつ男としても人間としても成長していく。
スー・ロー:アニー・ハー
出典:http://blog.livedoor.jp/katchan29/archives/51349432.html
ウォルトの隣家に住んでいるモン族の少女で、タオの姉。
タオとは対照的に明るく社交的で、不良に絡まれても真っ向から立ち向かうような、大変度胸のある性格。
町で不良に絡まれているところを、通りがかりのウォルトに助けられる。
それを切欠に、ウォルトに関わりを持つようになる。
頑固なウォルトの心を開かせる不思議な魅力を持っており、ウォルトの減らず口もスーには何にも感じない様子が伺える。
タオのことをとても心配しており、ウォルトにタオの更生を依頼する。
ウォルトのことは、父親代わりのように思っており、信頼している。
ヤノヴッチ神父:クリストファー・カーリー
ウォルトの亡き妻が世話になっていた町の神父。
「夫に教会へ懺悔しに行ってもらいたい」という遺言を受け、ウォルトに言葉をかけるものの、拒絶されてしまう。
頻繁にウォルトの様子を伺いに訪れるが、ウォルトからは頭ごなしに否定されてしまい、なかなか話を聞いてもらえずにいる。
それでも訪問し続けたり、ウォルトの身を案じるなど、神父としてというよりも一人の人間としてウォルトと向き合おうとしている。
スタッフ
監督:クリント・イーストウッド
脚本:ニック・シェンク
原案:デヴィッド・ジョハンソン、ニック・シェンク
制作:クリント・イーストウッド、ビル・ガーバー、ロバート・ロレンツ
感想
この映画を観るまでは、個人的に「役者がメガホンを取るのは少し違うのでは?」と思っていました。
しかし、この作品によって、その偏見を見事に覆されてしまいました。
カメラワークや写し方についての知識がある訳でも、特別詳しい訳でもありませんが、全てのシーンで役者がしっかりと映えていると感じました。
そして、少し邦画のような雰囲気も感じられ、観ていて心地の良い作品でした。
少しずつ心を通わせていく様子や、空気感、キャラクターたちの心理描写が自然と伝わってくるような、文句無しで素晴らしい作品でした。
ストーリー的には物珍しさがあるというような内容ではないのですが、「こんなに素晴らしい映画があったなんて!」と思わせられるような作品でした。
毛嫌いしていた異民族の少年少女によって、ウォルトが少しずつ心を通わせていく様子は、どこか可愛らしさも伺えて心が暖かくなります。
スーのサッパリとした性格だからこそ、ウォルトが心を開いていけたことを考えると、「きっと亡くなった奥さんはスーのような女性だったのだろう」と、想像が膨らみました。
このあとに、誰もが心温まるようなシーンから一変し、大どんでん返しが起こってしまうのですが・・・。
この絶望に突き落とされたような胸の痛みや、それぞれの感情の動き方など、
様々なことが映像と演技のみで自然に伝わってくるという所に、イーストウッドに才能を感じられます。
己の犯した罪について悔やんで生きて来たウォルトが、あのような結末になったことで、ようやく救われたのだと感じました。
ラストシーンは、涙が出るほど美しい、立派なハッピーエンドだと思いました。
イーストウッドは私生活では女性関係が派手なようですが・・・ここまで才能があると、そんなことどうでもよくなりますね(笑)
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