出典:[HE SAID SHE SAID REVIEW SITE]

タスマニアの雄大な大自然を背景に、幻の野生動物をめぐる、人間のエゴと一人の孤独なハンターの魂の救済を描いた、静かで印象的なスリラ―。

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あらすじ

マーティン(ウィレム・デフォー)はやや一匹狼ながら、経験豊富で腕は確かな傭兵。

 

バイオテクノロジー企業「レッドリーフ」の依頼を受け、幻の野生生物タスマニアタイガーの生体サンプルを採集すべく、目撃情報のあるオーストラリアのタスマニアを訪れます。

 

現地に到着したマーティンを出迎えたのは、レッドレーフが手配した案内人ジャック・ミンディ(サム・ニール)。

タスマニアデビルを研究する大学教授と身分を偽り、動物保護・自然保護活動家であるアームストロング家の一部屋を拠点としながら、タスマニアの大地で数週間、極秘裏にタスマニアタイガーを探しては、食糧調達に家へ戻るという生活を繰り返します。

 

撒き餌用の野生動物を捉え、とらばさみを設置し、ただ淡々と任務をこなすマーティン。

おそらく最後の一匹であろうタスマニアタイガーへの哀愁。

殺傷能力の高い罠を利用することへの罪悪感。

 

彼の顔には、そう言った感情は一切見受けられません。

孤高で、孤独なハンターは、タスマニアタイガーを求めて、ただ一人、広大なタスマニアの大地を歩きまわります。

出典:[HE SAID SHE SAID REVIEW SITE]

何も感じず、思わず、何にも関わらない。

それがゆくゆくは己の身を守ることを熟知している一匹狼のマーティンは、

アームストロング家の子供たち、姉ルーシーと弟ジェイミーに同情することなければ、地元住民と自然保護団体の抗争にも無関心です。

 

しかし、地元住人からの嫌がらせを受け、さらに子供たちから聞いた父親の話に違和感と興味を覚えたことをきっかけに、知らず知らずのうちに複雑な人間関係にからめとられていきます。

 

もともとは、情報収集が目的だった幼い子供たちとの交流も、いつしかマーティンに変化をもたらします。

出典:[HE SAID SHE SAID REVIEW SITE]

夫ジャラの失踪で薬物中毒だったルーシーも次第に回復し、一家とマーティンはささやかながら穏やかな時を過ごします。

 

しかし、平和なひと時は突然に終わりを告げます。

地元住民のエスカレートするいやがらせ。

マーティンの変化に不信感を覚えたレッドリーフの派遣した後任。

 

ジャラの失踪の真相に気が付いたマーティンは、一家の安全に危機感を覚え、任務遂行を急ぎますが…。

 

タスマニアの広大な自然を背景に展開される、スリラーで、しっとりとしたドラマ。

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キャスト

マーティン・デイヴィッド:ウィレム・デフォー

出典:[ウィキペディア]

仕事人間で、経験豊富な傭兵。レッドリーフ社の依頼でタスマニアの地を訪れる。仕事柄からか、無駄な会話を嫌い他人となれ合わない性格だが、なぜか宿をかりたアームストロング家の子供たちには懐かれる。

 

ルーシー・アームストロング:フランシス・オコナー

出典:[superiorpics]

マーティンに部屋を貸すアームストロング家の母親、行方不明のジャラ・アームストロングの妻。行方不明のショックから、薬物依存気味。マーティンが来た当初は、ベッドに寝つきほとんど顔を見せずにいたが、徐々に回復に向かう

 

ジャック・ミンディ:サム・ニール

出典:[ウィキペディア]

レッドリーフ社が手配した地元の案内人。タスマニアデビルを研究する大学教授と偽るマーティンを迎え、アームストロング家へと案内する。親切心から一家の世話をしているが、明らかに依存気味のルーシーに薬を届けたりと、やや不審な点のある人物。

 

サス(ケイティ)/バイク(ジェイミー):モルガナ・デイヴィス/フィン・ウッドロック

出典:[TrustMovies]

アームストロング家の子供たち。人懐っこく行動的な姉サスとおとなしく言葉を発しない弟バイクの中の良い兄弟。不思議とマーティンに懐く。

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見どころ

出典:[出典:[HE SAID SHE SAID REVIEW SITE]]

全てタスマニア撮影された本作の魅力は、何といってもその広大な風景。

縦にも横にも延々と続きそうな雄大なタスマニアの自然には、その雄大な美しさにただただ圧倒されます。

それと同時に、あまりにも広いタスマニアの大地で、一匹のタスマニアタイガーを見つけることの途方もなさを思い知らされます。

出典:[TheNewYorkTimes]

雨、風、雪…。

ただひたすら、美しも厳しいタスマニアの大自然に一人静かに耐えるマーティン。

ナレーションや主人公の回想など、余計な要素を一切配した、静かなストーリー展開も、大自然の美しさ、厳しさを際立たせます。

 

ハリウッド映画の早いテンポとは異なった、まるでタスマニアの大自然の中にいるかのような、ゆっくりとした時間の流れを感じられる映画です。

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感想

出典:[exclaim!]

誇張し過ぎない、リアルな人物像と粛々としたストーリー展開が魅力の映画です。

映画館で見なかったことが悔やまれます。

 

一匹狼で孤高(孤独?)主人公が、幼い子供(もしくはピンチの女性?)との交流を介し、徐々に変わっていくという設定は、いろいろな映画でよく見るパターン。

 

凄腕の主人公が、子供を守りつつ、一人巨悪と戦い、勝利する。

主人公が極悪非道の悪人をバタバタとなぎ倒す様は、見ていて痛快なのですが、心のどこかで都合が良すぎるとも思ったり…。

 

その点、本作は非常にリアルです。

主人公は確かに凄腕なのですが、生身の人間なので限界もあればミスもあります。

 

獲物を追いかけるのに夢中で崖から落ちて負傷したり、不用意な一言で本心を悟られ悲劇を招いたり、後任との一騎打ちも決してスマートに勝利できるわけではありません(ただし、反撃の仕方が現実的でうまいです)。

 

さらに、ナレーションや過度に感傷的な演出もありません。

タスマニアの大地でのサバイバルシーンが多いため、全体的に静かな映画です。

 

現実的な設定で地に足付いた、素朴な演出。

こうってしまうと、地味な印象を受けるかもしれません。たしかにお金をかけた爆破シーンや銃撃戦など、派手なシーンはありません。

しかし、だからこそかえって、主人公の素朴な感情がありありと伝わってくる、シンプルで美しい作品です。

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