出典元:http://www.comico.jp/articleList.nhn?titleNo=8166
小学生の時からずっと隣に住んでいて、家族ぐるみで仲が良く、お互いの家を行き来するような仲。高校生になり、両家とも引っ越すことになって、初めて離れることを意識したが・・・。comicoで連載中の蒼井海さんの「カカオ79%」は小さいころからずっと一緒の男女の幼馴染が高校生になり、ただの幼馴染から少しずつ変化していく二人を書いてます。ほろ苦い感情がタイトルにぴったりと当てはまっています。
あらすじ
綾野翼(あやのつばさ)と一ノ瀬勇(いちのせゆう)は小学生の時に隣同士に引っ越してきてから、お互いの家を行き来し、家族ぐるみで仲良しの幼馴染。高校生になったある日、お互いの家が引っ越すことを知る。それまでは当たり前のように一緒にいた二人だが、引っ越して離ればなれになったら、今までみたいにいられないことを知り、寂しさからどこへ引っ越すのか聞けずにいた。
そして、引っ越し、新しい学校へ転入した日にお互いの家がまた隣同士であったことを知る。学校もクラスも同じだった。
小さいころから一緒でいつも隣同士で歩いている二人は周りから「付き合っている」と思われがちだが、二人の間には今のところ、そのような様子はなく、翼は自己紹介のときにクラスのみんなの前で「こいつ(勇)は彼女募集なのでよろしく」と余計な一言(勇曰く)を付け足した。見た目は良く、頭もいい勇は女の子にモテる方。翼のせいか、転入して早々に何人にも告白をされる。しかし、勇には小学生の頃から変わらず、翼のことを「好き」で・・・。
翼は性格がどちらかと言うと男の子っぽく、昼休みに男の子に混ざってサッカーをしていたりで男友達は多いが女友達はまったくいない。中学のときは親友と呼べる女の子がいたが、その子が転校してからは親しい女友達はなかなかできなかった。勇との関係を誤解され、嫌味を言われながら、過ごしてきた。高校生になり何人か女友達ができたが、転校してからはいまだ友達ができていない。そんなある日、具合悪くなり、廊下でうずくまっているところをクラスの男子(モブ男)に保健室へ無理矢理連れて行かれる。そこで勇と「本当に付き合ってないのか」などのようなことを聞かれる。「勇とは付き合ってないし、そんな関係じゃないけど大切な存在だから傷つけたらゆるさない」と答える。その後、勇に保健室で何があったが聞かれるが、恥ずかしくて答えることができず・・・。
お互いのためにも二人でいるのではなく、友達を作ろうと翼はテスト勉強を教えてもらうことを口実に勇とどちらが先に友達を作れるか、勝手に勝負をすることにした。
テストは無事に終わり、近くで花火大会があると、クラスの子たちに誘われて翼は行くことになった。蛍(勇の妹)や勇の母の計らいで浴衣を着て、少し化粧もして髪をまとめている。家を出る前に蛍に写真を撮られた翼。蛍はその写真を勇の携帯へ送る。寝ていた勇はその画像を保存し、再び眠りにつくが・・・。蛍に言われた通り、お祭り会場についてから数人の男子と一緒に写真を撮る翼。それを蛍の携帯に送り、蛍が再び勇の携帯へと送る。男子と楽しそうに笑っている翼を見て、勇はお祭り会場へと向かうために慌てて起きると、母と妹の狙い通り、浴衣を着せられる。ハメられたかのようにお祭り会場へ向かうと、楽しそうにお祭りを制覇しようとしていた。その様子を見て帰ろうとしたが、人ごみの中を歩いている翼がすれ違う人とぶつかり、よろけた瞬間、同じクラスの男子が肩に手が触れた光景を見て、このまま帰るわけにはいかない。他の人が少しでも触れるだけで嫉妬している自分に気づく。
翼は一緒に来ていた女の子たちに勇とのことを聞かれていた。だが、翼は勇に女の子扱いをされていることには気づいているが、「友達」のままでいたい。「勇と付き合うことは今も今後もないよ」と言い切る。勇へのお土産を買い、人ごみの中を花火見るために向かう翼は痴漢に遭ってしまう。両手はお土産でふさがり、足は浴衣でいつもみたいに蹴ることもできない。されるがままになっている。そこへ勇が現れ、翼がもっていたお土産を投げ、翼を連れ去る。「何であんな奴、振り切らなかったんだよ」と怒鳴られる翼。それにキレる翼だが、勇も引かず、怒りが隠せない。その様子を見て、落ち着きを取り戻す翼は「大丈夫だから」と強がって笑うが背後に人の気配を感じ、過敏に反応してしまう。それを見た勇は人ごみの中へ流されそうになる翼を抱きしめる。「一ノ瀬くんのことを男だなとか、自分が女として見られてるなって感じたことないの?」と先ほどクラスメートの女の子たちに言われたことを思い出してなのかドキドキしてしまう翼。「大丈夫だから放して」と言っても放さない勇。「みんながいるからそっちに行こう」「俺と一緒にいるとまた誤解されるけどいいの?」といつも以上に翼を困らせる勇。「誤解されるのは嫌だけど、それでも一緒にいたいって言ったじゃん。それに私たちが友達なのには変わらないから」という翼。「この状況のほうがおかしいと思う」という翼に勇は解放し、「この状況ってどの状況?俺がお前を抱きしめた後にキスでもすると思ったか」と言う。混乱する翼の腕を掴む勇に思わず振りほどいてしまう。その結果、つけていたブレスレットが切れてしまう。以前、勇からもらったブレスレット。これは怒るだろうと思ったが、翌日綾野家に来た勇はそれを直すために持ち帰る。
日曜日、以前困っているところを翼が助けた天童雫(てんどうしずく)から「クッキーのお礼がしたいので昼休みに会いましょう」とメールが来た。翌日学校へ行くと、翼たちのクラス委員が夏休みに天童のいるE組と翼たちB組で肝試し大会をするための参加者を聞いて回っていた。職員室で天童に遭遇した勇は翼との待ち合わせ場所に送ろうとするが「教室に連れて行ってほしい」と言われる。理由を聞くと、橘という男子が翼に会いにB組へ行っているらしい。「綾野さんがとられてもいいの?」という天童にどういった関係かを聞くと「私の幼馴染でテニス部で私の好きな人」と答える天童。昼休みに天童と待ち合わせをしている翼は勇が以前、天童のメガネを拾ったことを知り、教室に取りに戻るが肝心の勇がいない。そのとき、翼は橘 順(たちばなじゅん)に再会する。翼はどこで会ったのか覚えていなかったが、橘から話を聞くと、小学生の時に知り合ったという。初めて負けたことが悔しい橘に「一回負けたくらいで辞めるのは勿体ないよ」と言われ、自分を認められた気がしてうれしくなったという。それをきっかけに一回辞めようと思ったテニスを今でも続けられている。その話を天童と勇、肝試しの参加を聞くために委員長がこっそりと聞いていた。「今思えば、君が俺の初恋の人だったのかもね」という橘に焦る翼と勇。聞くのが面倒になった委員長は出席欄に翼と勇、天童の3名の名前を記入する。
夏休みに入り、肝試しの日がやってきた。方向音痴の天童がよく迷わずにここまで来れたなという勇に対し、天童をここまで連れてきたのは自分だと現れたのはB組でもE組でもない橘。聞くと天童と橘は幼馴染で、会場となっている山は橘の叔父の私有地らしい。男女のペアで回ることになり、勇は天童と翼は委員長を回ることになったが、委員長が恐怖のあまり失神してしまう。ペアがいなくなった翼に勇が二周回ると提案するが却下されてしまう。そこへ本来は参加者ではない橘が自分が回ると名乗り出る。天童と勇は急いで周り、藪をかき分けながら、橘と翼のいる場所へ戻る。突然藪から現れた勇と天童、翼と委員長はお互いに疑問を持つが勇の手が怪我をしていることに気づいた翼は早く手当してもらえと言う。一緒に戻ろうと提案する勇に委員長と約束をしたから、ビー玉を取ってから戻ると一人、山の中へ向かう翼。なかなか見つからないビー玉を奥の方で発見した翼は思わずバランスを崩し、崖から落ちてしまう。助けを求めるために、勇の怪我を心配し、天童に「崖から落ちて足を怪我したから、勇には内緒で橘くんに来てもらいたい」とメールをする。天童は色々迷った挙句、司会者に伝えることにした。それに焦る勇は自分が向かおうとする。しかし、橘に「怪我をしているから無理だよ。それに俺はこの山に詳しいから俺が行った方がいい」と止められる。無事に助けられた翼は橘に背負われて現れた。その帰り道、無言の勇に話かける翼。その翼の前に突然しゃがみこむ勇は「乗れよ」と言う。手の怪我を気にして「いいよ」と遠慮する翼に「頼むから」と懇願する勇に負け、背中の背負われることになる。「もっと男に頼っていいんだ」という勇に「小学生のときは私に背負われてたくせに何が男よ」という翼に「今は小学生じゃねえし」と叫ぶ勇。「お前の弟でもねえし、俺は男だよ」という聞いたことのない勇の叫びに自分たちが小学生の頃のようにもう対等じゃないことを理解した翼。
雨の日に外へ出ていた勇は風邪を引いた。「勇にぃが風邪を引いて寝込んでいるんだけど、私もこれからでかけなきゃいけなくて光しか家にいないから翼ちゃん、看病をお願い」と勇の妹の蛍からメールが来た。言われた通りに家に行き、看病をする。橘くんより広い背中だったなと指先で背中をなぞることで勇を起こしてしまう。起きたことにより、蛍が作った食事と着替えを用意する翼。雨の日にどこへでかけてたのかという翼の疑問を無視する勇。着替えをしようとしていてもその場にいる翼を「人が着替える時くらい出てろよ」と翼を追い出す。その時、勇は翼に対して幼馴染でも友達でもない気持ちを初めて意識した日のことを思い出していた。勇の着替えが終わったかと部屋に入ると床に寝ている勇。「何でそんなとこで寝てるのよ」と呆れながら近づくと勇がブレスレットの箱を持っていることい気づく。直してきたのかなと疑問に思う翼は不意の髪を引っ張られ、バランスを崩す。そしてそのまま、勇からキスをされる。翼の頭の中は傷つけてしまった女の子の姿が蘇ってきていた。その後、熱で倒れた勇を看病した翼は勇の母親が帰ってきたことにより、そのまま家へ帰る。次の日、ジョギングをしながらキスされたことを考えていた。どう考えても勇がなぜあんなことをしたのかわからない。自分と勇はお互いに同じ目線で見ているのか、疑問に思う翼は昔クラスメートに言われた「自分と異性が同じ目線でみているかどうかはその人にキスできるかできないかだって」という言葉を思い出し、一ノ瀬家に向かう。眠っている勇に同じことをしようとしてもどうしてもできない。なかなか踏み出せないでいたとき、蛍が部屋に入ってきたことによって、我に返る。勇にできたことが自分にできるかどうかの答えは「無理」だった。
風邪をひいてしまった翼は蛍に色々問い詰められるが、答えることはできない。ちょうどそのころ、翼の兄(空)が帰国をしてきた。プロテニスプレーヤーでもある空は橘の憧れの人。橘と天童を家に呼んだ翼。そのとき、一ノ瀬兄妹も現れた。勇に何であんなことをしたのか問い詰めようとしたが、勇は覚えていない様子。それに対し、妙に意識してしまう翼はみんなの前で変な態度をとってしまったことがきっかけに家に二人きりにされてしまう。何故勇が怒っているのか、自分のことを避けているのかを聞いた翼に怒ってないと答える勇。「怒ってるわけじゃなくて落ち込んでるんだよ。疲れたし、自信もなくしてる。だから今は正直お前の顔を見たくない」と話し始める。それを聞いた翼は熱があるにも関わらず部屋を出て行こうとする。「私が何に怒っているのかは気にならないのか」と言う勇に「何がそんなに気に食わないんだよ」と言い返される翼。キスされたからとは答えられず、「あんたが風邪をうつしたから」と答える。「じゃあうつし返せよ」という勇に無理でしょうと答えようとしたが、それよりも先に「無理だろうけどな」と言われる。以前、勇にキスできるか試したときのつぶやきを聞かれていたのだ。立て直す時間が欲しいという勇に何年でも何十年でもあげるから立て直してくださいという翼。「本当に俺のこと何年も見ないで平気なのか」という勇に肯定する翼。「お前が忘れろって言うなら忘れるよ。本当にそれでいいのか?」と聞く勇に翼は「忘れて」と答える。そして、そのまま部屋を出る。夏休みの間、連絡もしないし、会わない。今日は用事ができたから帰ったと皆に伝えておけと告げる。ドアの前で立ち尽くしたままの翼は、突然ドアが開き、入ってきた勇にキスをされ、「忘れろよ、お前も」と言って部屋を出た。
ずっと友達でいたかった翼は過去に愛ちゃんという女の子を傷つけた罪悪感からでもあった。勇のことが好きでキスをしていたのを見てしまったことがあった。その子のことがどうしても忘れることができない。そのことを察している勇は「仲直りしたい」と電話をかけてきた翼に「一度でいいから夏目(愛ちゃん)のことを忘れて俺のことを考えてみて。答えがわかっても俺と一緒にいたいと思ったら会いに来て」と言う。その日は天童が翼の家に泊まることになった。そして天童から「一番嫌なことは何か」を尋ねられる。翼にとって一番嫌なことは勇と一緒にいられられなくなることだった。答えはあっさりと出たが、勇に会うことができない。
登校日、翼が遅刻をして学校に行くと、モブ男が勇に絡んでいるところを目撃する。「人のことをそんな風にからかって楽しいのか」という翼に対し「おもしろいよ」と答えるモブ男。そのまま逃げるように体育館へ向かう。翼は勇を無視し、委員長と一緒に体育館向かう。そこで勇とのことを聞かれる。翼は委員長に勇とのことを話す。勇は委員長と翼の様子が気になって仕方ない。二人の後を追いかけていると突如上がった悲鳴に驚き、翼の後頭部に顔面をぶつけてしまう。その悲鳴の先にいたのは豹変した天童だった。バイトの許可をもらうために登校してきた天童はクラスの女子に呼び止められるが、用事があると断る。その時、思わず相手の女の子の手が当たり、鼻血を出してしまった天童は相手の胸倉を掴み殴りかかろうとしていた。それを翼たちに止められたが、その時、天童が元ヤンだと知らされる。そして二人の手当をするために保健室へやってきた翼たちは「友達になってほしいと頼まれたけど、私には必要ない」と保健室を出ていく天童。残された翼と勇。黙って手当をする翼。そして勇が「避けている間の翼が心配だから」と天童に自分と翼の友達になって欲しいと頼んでいたことを知る。それに怒った翼だが「一人じゃ友達も作れないし、無神経なことを言ってあんたを傷つけた。自分の見たくないものは避けてきたけど、何もかも決めてくれなくていい。自分で考えて答えを選ぶよ。今、寂しくさせてるのはあんただよ」と言う翼にショックを受ける勇。さらに翼は「いっぱい傷つけたけどあんたと天童さんが仲良くて、そこにいたのは私なのに。私の勇なのに」と続ける。「あんたはあんたのやりたいように、私は私のやりたいようにで今まで通り一緒にいるの。でも今度は私、ちゃんと目を逸らさずに考えるから、この先のことはもう少し待っててほしいです」と翼なりの答えを出す。
その後、夏休みが終わり、文化祭準備のときに先輩(男)に勇のことを話すことになる。そして「好きか嫌いか」って言ったらと聞かれ、「好きだ」ということに気づく翼。
ようやく勇のことを好きだと気づいた翼。二人はこの先どうなっていくのか・・・。
登場人物
綾野 翼/あやの つばさ
出典:http://www.comico.jp/detail.nhn?titleNo=8166&articleNo=1
高校1年生。言葉遣いが悪く暴力的だが、気弱なところもある。意外と真面目で不器用な性格。男子とは遊び仲間で女子にはモテるが、女友達は少ない。テニスをやっていたが、今はやめている。兄が一人いる。
一ノ瀬 勇/いちのせ ゆう
出典:http://www.comico.jp/detail.nhn?titleNo=8166&articleNo=1
高校1年生。翼の隣の家に住む幼馴染。見た目クールなイケメンだが、実はヘタレで短気だが優しい。女子にモテる。男子にもモテるので友達は多い方。妹と弟がいる。
天童 雫/てんどう しずく
出典:http://www.comico.jp/detail.nhn?titleNo=8166&articleNo=13
高校1年生。道にすぐ迷う。何を考えているのかわからないと言われることが多いが、あまり何も考えていない。元ヤンキーで喧嘩はそこそこ強い。人生の道でも迷っているという皮肉からか「迷子の迷子の天童さん」と呼ばれることもある。
橘 順/たちばな じゅん
出典:https://twitter.com/hashtag/橘順誕生祭2018
高校1年生。趣味、特技はテニス。テニス部所属。過去に翼に会ったことがある。翼の兄、空の大ファンでもある。お金持ちらしく、学校近くの山を身内が所持していたりする。兄は医大生。天童の幼馴染。優しくて気遣いのできる人。
一ノ瀬 蛍/いちのせ ほたる
出典:https://twitter.com/hashtag/一ノ瀬蛍
中学3年生。料理が得意でよく家で作っている。勇の妹。翼や勇よりもしっかりした子。現在、片思い中。
綾野 空/あやの そら
出典:https://twitter.com/hashtag/綾野空生誕祭
年の離れた翼の兄。プロテニスプレーヤーで海外滞在中。重度のシスコンで勇を敵視しているが妹の幸せを一番望んでいる。
感想・まとめ
カカオ79%というタイトルがついているだけの主人公の二人が中々甘い雰囲気にならないところがこの漫画の魅力だと思います。ネタバレにもなりますが、翼は中学の頃に勇と3人で仲良かった女の子がいたけど、その子が勇を好きになり、大事な友達だったから、うまくいくように協力しようとした。けれど、勇はすでに翼のことを「女の子」として好きだったため、二人がうまくいくことはなかった。翼と勇と一緒にいるのが辛いと言って、その女の子は転校してしまう。過去にそのようなことがあってから、翼にとって一番大事で壊したくないものは「友達」であり、だけど勇にとって翼は「友達」だけどその関係を壊してしまいたいと思っている。現在100話まで公開されていますが、途中、自分の気持ちを気付かせたいと取った行動により翼と勇が離れるようになるのが見ていて辛かった。しかし、ようやく翼も勇のことが好きだと気付いたので今後の展開が楽しみです。カカオ79なので甘くならないとは思いますが・・・。