出典:https://www.amazon.co.jp/ポカホンタス-DVD-アラン・メンケン/dp/B000276YWE
自然と共存しながら生きるネイティブアメリカンのヒロイン、ポカホンタスと入植者としてこの地に赴いたイギリス人冒険家ジョン・スミスのロマンス。製作に5年の歳月をかけ、ディズニーがそれまでのステレオタイプなヒロインから脱却を試みた、野心作。
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あらすじ
舞台は17世紀初頭のアメリカ。
大自然と共存しながら生きるポウハタン族の娘、ポカホンタス。
彼女は毎日、風のようにのびのびと生活しながらも、最近見る不思議な夢を気がかりに思っていました。
くるくると回転し続け、ある瞬間ピタッと止まる矢。
自分の未来を暗示するかのような夢。
現実でも、父の進める結婚になにか釈然としない思いがあるポカホンタスは
友達のミーコとフリットと共に、柳の木の精霊 グランドマザー・ウイローに夢の解釈を頼みに行きます。
Listen With Your Heart（心の耳で聞いてごらん）
彼女の言葉に従い、木に上り周囲を見渡した矢先、ジョン・スミスをはじめ、英国の開拓隊を乗せたスーザン・コンスタント号が入港するのを目撃します。
何かを直感したポカホンタスは好奇心の赴くまま船の元に向かい、一人で上陸してきたジョン・スミスの後をつけることに。
森の中を一人散策するジョン・スミスとそれを追うポカホンタス。
尾行に気づいたジョン・スミスに危うく、撃たれそうになりながらも、
2人は出会い、通じるはずのない言葉を交わし始めます。
初めは、友好的ながら自文化中心主義のジョン・スミスですが、
ポカホンタスと交流するうちネイティブアメリカンの文化や思想を理解し始めます。
文化や民族の違いを超えて引かれあう2人。
しかし、その背景では、
自然との共存を重んじるポウハタン族と金を求め開拓を進める入植者との間には摩擦が生じ、
ポカホンタスに思いを寄せるココアムが銃で撃たれる事故が起こります。
友人をかばったジョン・スミスは首長にとらえられ、処刑されることに。
これをきっかけに、緊張状態の続いていたポウハタン族と入植者たちに、衝突の危機が訪れようとする中、
己の進むべき道をやっと見つけたポカホンタスは、ジョン・スミスを救うべく、夜明けまえの森を全力で駆け抜けます。
キャスト
ポカホンタス（Pocahontas）
出典：https://tr.twipple.jp/p/44/88eb3f.html
ポウハタン族の娘。首長の娘に見合った知的で気品ある雰囲気と、行動力と好奇心の強さが特徴。
滝から飛び降りたり、激流をくだったり、危険を顧みずジョン・スミスを守ったり、フィジカルにもメンタルにも自由なヒロインです。
ジョン・スミス(John Smith)
イギリス人の探検家・軍人。正義感が強く仲間思いのため、人望の厚い好人物です。
初めは、やや自文化中心主義なものの、柔軟な思考の持ち主のようで、ポカホンタスの言葉に耳を傾け、彼らの文化も徐々に理解し始めます。
ミーコ(Meeko)・フリット(Flit)
ポカホンタスといつも一緒にいる友達。陽気で食欲旺盛なアライグマのミーコと少々人見知りなハチドリのフリット。
ミーコはビスケットをくれたジョン・スミスにすぐなつきますが、部外者が嫌いなフリットはなかなか信用しません。
ナコマ(Nakoma)
出典：[Reviewing All 54 Disney Animated Films And More!]
ポカホンタスの親友。自由奔放なポカホンタスとは対照的にリアリスト。
自由さ故に周りとやや歩調が合わないことが多いポカホンタスを心配しては、いつも彼女を擁護する、なんとも優しい友人
グランドマザー・ウイロー (Grandmother Willow)
柳の木の精霊。ポカホンタスの迷いに的確なアドバイスをするカウンセラーのような存在。
どうやら、彼女ことは、見える人と見えない人がいるよう。
ココアム(Kocoum)
ポカホンタスにプロポーズする、ポウハタン族の青年で村の英雄。
見どころ
1990年代、ディズニー映画のヒロインたちは大きな分岐点を迎えたといわれています。
それまでのお姫様然としたヒロインは、徐々に社会思潮に合わなくなり、時代に合った新しいモデルの構築が望まれていた中、ポカホンタスが生み出されます。
泣いたり笑ったりといった飾らない表情、森を駆け抜け滝へ飛び込める自然で健康的な美しさは、
それまでのヒロインのか弱く線の細い美しさとは一線を期しています。
また、ジョン・スミスより走るのも速ければ木登りもうまい、活動的なヒロインは精神的にも自立していて、
なんでも自文化の尺度で計ろうとするジョン・スミスに対して疑問を投げかけます。
故郷や家族とジョン・スミスへの思いの間での葛藤など、本作では内面的な描写も数多く、
ポカホンタスは、それまでの人形のようなヒロインではなく、生身の一人の人間として描かれたヒロインです。
感想
出典：[Disneyfied, or Disney tried?]
すべてのものにスピリットが宿るといったネイティブアメリカンの思想が盛り込まれた本作は、同じくアミニズム的な思想を持っている日本人には理解しやすく、共感しやすい内容です。
残念なことに、それまでのディズニー映画よりもテーマが複雑で難しいため、子供には理解し辛く、スタッフの思いとは裏腹に興業成績は振るわない結果となりましたが、言い換えれば、リアルで躍動感にあふれたキャラクターの描写やアート性の高いシーンなど、それまでのディズニー映画とは異なった大人向けの作品です。
美しいシーンもさることながら、ふと考えさせられるセリフや歌詞も必見です。
最後までお付合いいただきありがとうございました。
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